壊れたシャープペンシル

1月4日、名鉄で金山駅に向かっていたら、神宮前駅で人がどっと乗り込んできた。しばらく考えて、熱田神宮に参拝した人たちと、セントレア空港からの人たちだと気づく。

普通の平日だと思っていたのは間違いで、世間ではお正月の延長だった。普通の平日の静かな感じが好きなので、少し残念だった。とはいえいつもの平日とは違う平日を楽しもうと思った。

年末、シャープペンシルが壊れた。同じブランドのものを買いに行ったものの、栄でも名駅でも売り切れだった。そうか、今日は手に入らないのか。気が抜けて、あたりを見回す。文房具、その中でも高級なものを取り扱うカウンターには、中学生くらいの男子が集まっていた。財源はお年玉だろう、高いシャープペンや本革のペンケースを買い求めていた。

私はお小遣いを必死で貯めて、壊れたあのシャープペンを買いなおすだろうかと考えた。シャープペンにしては高い。それでも好きだったから、1本目が壊れても2本目を買った。3本目はおそらく円安の関係で、2000円くらい高くなっていた。3本目、買うか? また壊れるのに? でも好きだー。自問しながら帰った。なんだか恋愛の悩みみたいだと思った。だめな人を信じてお金を払い続けるのか? 

名鉄名古屋駅は混雑していた。名古屋に帰省した人と、名古屋に海外から来た人と、これから名古屋を出る人が、スーツケースを手に歩いていた。「何番線だっけ」「次かな」「間に合わなかった」「急いで」などと言う人たちの中で、なにも考えずにすーっと、いつもの電車のレーンに並んだ。周りの人たちが非日常を生きるなかで、私はいつもどおりの日常を送っていると思った。名古屋に住むようになってから、解は電車の風と一緒に来ることが多い。

シャープペンのメーカーを変えた。差額で寄付をした。