夏の蝶々

have butterflies in one's stomach
直訳:お腹の中に蝶々をもっている
意味:そわそわして落ち着かない、はらはらする、胸がどきどきする

大学生のとき、日本人の教授に送った英語のメール。
単にnervousと書けばよかったところに、have butterflies in my stomachと打った。
「なんて美しい表現なんでしょう」という感じの返信をもらった。
権威ある立場の先生だから、この表現を知らないはずはないだろうと思っていた。
知らなくて純粋に驚いたのか。
知らないふりをして、初めて見たように言ってくれたのか。

このところ、そわそわしている。
仕事のチームメンバーが増えるのだ。
その人のことが心配なんじゃない。
私はどちらかというと仕事を作るほう、雇用を生むほうの立場で、私/私たちの仕事に他の人を巻き込んでしまっていいのかしらと思う。
失敗しても一緒に笑い飛ばしてくれそうな人なのに、緊張してしまう。

Tシャツを着る。
裾を少し持ち上げ、空気を含ませる。
その拍子に、蝶が入ってくる。
Tシャツと空気の膨らみの中で蝶が動く。
お腹に羽が当たってくすぐったい。
深呼吸する。
裾をもう一度上げると、蝶が外に出て飛んでいく。
太陽の光を受けて輝く。
持ち上げたままのTシャツに影が映る。
勝手にそんなイメージをして、不安に隠れた尊さを見逃さないようにしている。